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花博自然環境助成事業

平成17年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 特定非営利活動法人 国際マングローブ生態系協会〔沖縄県中頭郡〕
事業名 西表島浦内河口域のマングローブ分布と貝類の棲息調査
事業の実施場所 西表島(沖縄県八重山郡竹富町)浦内川河口域
事業の実施期間 平成17年4月~平成18年3月
事業の概要 沖縄県最大の河川、西表島の浦内川では平成16年に新種の貝類が2種報告されたが、これまで浦内川の貝類について体系だった報告はないので、貝類の採取と分布を記載するために本事業を実施した。
成果の要約

調査は、浦内川中流域~河口域、トゥドゥマリ浜、宇那利崎南部のトゥドゥマリ浜に面した範囲で行われた。調査の時期は平成17年6月、7月、8月、10月、平成18年1月、2月と3月であった。なお、特に干潮時には重点的な調査が行われ、潮間帯に生息する貝類をほぼ網羅的に記録するように努力した。
貝類の採取方法は、視認と泥や砂の採掘であった。また、採取地の環境状態を把握するためにマングローブの林分調査も貝類の採取と平行して実施された。採取された貝は、必要に応じて写真撮影、固定液での固定を行い、岡山大福田宏助教授、貝類保全研究会代表の山下博由氏が同定にあたった。
調査によって確認された貝類について目録が作成された。目録に収録された貝類は腹足綱194種(生息71種、死殻123種)、二枚貝綱98種(生息20種、死殻78種)の合計292種(生息91種、死殻201種)であった。なお、分布が確認された貝類の中で、死殻が確認された種のほとんどは潮下帯に生息していると推測した。
今回の調査で確認された貝類の中でレッドリストに記載された種は、腹足綱33種(生息24種、死殻9種)、二枚貝綱31種(生息7種、死殻24種)の合計64種(生息31種、死殻33種)であった。
その中で沖縄県のレッドデータブック(沖縄県文化環境部自然保護課、2005)で絶滅危惧IA類に評価されているMacoma (Macoma) nobilis (モモイロサギガイ)、Meretrix sp. (トゥドゥマリハマグリ)、Distugonia decurvata (オフクマスオ)の3種については極めて貴重性が高かった。
以上のように西表島の浦内川には、極めて貴重な貝類や64種ものレッドデータブックに記載されている貝類が生息することから、早急にその保護対策がとられることが望ましいと考えられた。

関連成果物

成果として公表されたものはまだないが、今回の成果については、学会誌に報告する予定で山下を中心に投稿準備をしており、また未記載の新種については福田とDr. W. F. Ponder (the Australian Museum) によって記載の準備が進められている。

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