<概況調査> 加西市内に点在するため池約千カ所のうち、抽水植物群落が生育しうる環境と規模を備えた約250カ所について、植生と動物群集の状況調査を行い、ベッコウトンボ(天然記念物)が確認されるなど、特に保全上注意すべきため池約10カ所を指摘した。
<重点調査> 次にそれらのため池を中心に、ヌートリアの侵入状況、河川との連接状況、現在の管理状況,さらに、季節ごとのヌートリアのため池利用状況(利用個体数,営巣と繁殖の有無、利用場所と利用時間帯など)を調査した。またこれらの情報を用いて、ため池管理のタイプ(水位一定のダム取水依存型と水位変動のある在来型)や水位管理の年間スケジュールと、ヌートリアの定住および繁殖との間の関係を検討し、在来型管理、中でも冬季の水抜きがヌートリアの排除に有効であることが示された。 また、自治会やため池管理組合との協働で行われた水抜き実験においても、実際に排除が行われていることを検証することができた。
<駆除個体解析> 地元行政(主に加西市)が行う駆除により得られたヌートリアの死体を回収・標本化し、性齢構成、食性、成長・繁殖、衛生、の諸点から分担・分析する体制を関係研究者の協力を得て組んだ。このうち衛生に関しては、心配された肝蛭虫が見られないことなど、既に地域社会への情報還元も行っている。
<市民調査への展開> 上記の成果を元に、行政の講習会や地元観察会などにおける情報提供、さらに学校組織(小中高校)に呼びかけた広域調査を企画・試行した。なお18年度は、観察会方式による動植物相調査とヌートリア生息調査、それらの成果を集積したデータベース構築、さらに、水抜きイベントと連動させたため池管理史の聞き取り会の実施などを企画している。
関連成果物
- 活動・調査中の写真
- 関連事業・観察会資料
- 学会発表要旨
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