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花博自然環境助成事業

平成18年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 照葉樹林文化研究会〔大阪府〕
事業名 中尾佐助植物探検資料のデータベース化による活用研究
事業の実施場所 大阪府立大学学術情報センター
事業の実施期間 平成18年4月~平成19年3月
事業の概要 照葉樹林文化論の提唱者である中尾佐助の探検資料を整理体系化して花とみどりを主とした植物文化に関する学術研究用に公開するための研究を行う。
成果の要約

大阪府立大学学術情報センター所蔵の中尾佐助スライド22470枚をTIFファイル(各30メガ)として電子化し、各画像にファイル名を貼り付け、画像検索システムのマスターファイルの検索語フィールドを構築した。東ネパール(未公開)探検におけるスライドの画像についてトリミングし、公開用データベースの基礎となる縮小画像ファイルを作成し、既に電子公開されているブータンの画像スライドとともに、ホームページ(HP)での公開に際して問題となる検索の動作と検索語や表現を分析した。保存スライドには、かびによる劣化がみられたほか、裏面収蔵、逆配置、番号記述錯誤など、データベース化において修正を要するものがみられた。撮影日や撮影時工程の不明なスライドもあったが、これは別途撮影されたモノクロフィルムに基づくアルバムとフィールドノートとの照合で解決できた。保存スライドには、探検の同行者による撮影画像や著作執筆にあたって借用したと推定される画像があり、これらは電子化の対象としなかったが、今後のアーカイブ作成において重要な手がかりとなると判断された。劣化により被写体の植物が不明な場合もあるが、学術情報センター所蔵の関連資料の参照により必要な情報は整備できると考えられる。データベース化の項目と予定している検索語の貼り付けと検索システムを整備するための基盤を構築できた。

5月21日に開催した中尾佐助著作集完成記念講演会では4題の招待講演と4課題フラッシュ講演を行い、11月4日に開催した公開研究発表会では中尾スライドを使った研究と会員によるフィールド研究について討論を行い、照葉樹林文化論を深化する考察を行った。完成した中尾佐助著作集全6巻を5月24日に常陸宮殿下へ献上し、著作集のとりまとめの経緯を紹介するとともに中尾佐助の文化論を考察した小論を雑誌「学際」に公表した。