スキップして本文へ

花博自然環境助成事業

平成19年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 伊予農絶滅危惧海浜植物群保全プロジェクトチーム〔愛媛県〕
代表者 代表 玉井 修二
事業名 塩屋海岸における絶滅危惧海浜植物群落の保全活動
事業の実施場所 愛媛県伊予郡松前町塩屋海岸および重信川河口域
事業の実施期間 平成19年4月~平成20年3月
事業の概要 重信川河口及び左岸の塩屋海岸には、緊急に対策が必要な絶滅危惧海浜植物群落がある。植生分布の変化や海浜地形、潮流特性、飛砂量を継続調査し、生態系の保全と併せて環境教育を行う調査研究活動である。
成果の要約

19_19.jpg

<学術研究の分野>
(1)海岸と重信川河口域にある在来種10種、外来植物12種、内陸性植物2種の植生分布を調査し、CDに収録して教材化した。さらに周辺の教育機関に配布し、あわせてアンケートによる外部評価を実施した。
(2)実測された過去の地下水位、河川水位、潮位、雨量データを分析し、連続干天期間と出水時の相関関係を分析した結果、地下水位や河川水位、潮位、雨量が密接に連動していることが明らかになった。
(3)GPS機器とドップラー式多層流速計を利用し、海浜地形の経年変化を明らかにした。また、このシステムを事業対象地域利用し、重信川河口の感潮域での遡上・流下流量や河川の水質が明らかになった。
(4)飛砂現象と土壌環境の経年変化、海浜植物の発芽率を調べた。その結果、植生がある場所は飛砂現象が起こりにくいこと。海浜植物の中には暗発芽で発芽率が高くなるなど、飛砂を巧みに利用した繁殖戦術をもつ種があることがわかった。また、この海岸で消えた6種のうち4種が再生できた。
(5)河口域でのシギやチドリの減少、カワウとカラスの増加、ブルーギル捕獲による外来種の繁殖、ヤマトマダラバッタの絶滅など生態系の異変が確認された。
(6)Webカメラを設置し、遠隔操作で河口域の生態系がモニタリングできるシステムを構築した。

19_20.jpg
教材化した啓発用CDの画面

<啓発活動・ボランティア活動の分野>
(7)海岸清掃ボランティアの参加を、地元新聞に毎月掲載していただき、広く参加を呼びかけながら、行政や他団体と連携して持続可能な環境整備活動を展開した。
(8)海岸に大型の啓発看板を設置すると共に、自作の啓発紙芝居を作成して地元保育所や環境講座の講演会で上演した。
(9)研究成果は博物館で展示し、発表会への積極的に参加した。また、マス・メディアに情報提供した。

関連成果物(公表した論文、活動の写真等)

(1)設置したWebカメラの定点画像は、学校のホームページ(http://www.esnet.ed.jp/iyo-ah/)にリンクさせ、インターネットにより配信し、不特定多数の人を対象に河口域の生態系がモニタリングできるようにした。また、海岸や河口域の植生分布図等をCDに収録し、自作の啓発ポスターと共に松山市、松前町、伊予市の小・中学校、幼稚園、保育所、公民館約230箇所に配布した。
(2)自作したホームページコンテスト作品(甦れ!!塩屋の海浜植物群落)は、平成19年度高校生自慢の手づくりホームページコンテスト優秀作品として、愛媛県教育委員会高校教育課(http://koukoukyouiku.esnet.ed.jp/h19hpc/h19kjthcnyuusen.htm)が、現在(2008年3月)で配信しているが、植生分布図等を収録したCDと共に学校ホームページからも閲覧できる。

19_21.jpg