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花博自然環境助成事業

平成19年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 特定非営利活動法人国際造園研究センター〔大阪市〕
代表者 理事長 清水 正之
事業名 都心における街区公園の再整備についての調査研究
事業の実施場所 京都市中京区
事業の実施期間 平成19年4月1日~平成20年3月31日
事業の概要 大都市の都心部における街区公園等は、密集した市街地にあって、規模は小さくとも重要な緑・オープンスペースとして位置づけられるが、多くの公園は、充分にその役割を果たしていない。このため京都市中京区の公園を調査対象として現況調査を行い、問題点・課題を明らかにして公園の機能の向上と、都市環境(景観)の向上に向けての再整備の方向を検討・提示した。
成果の要約

本調査は京都市中京区における都市公園(街区公園28ヶ所、近隣公園1ヵ所の計29ヶ所)の公園について、隣接周辺地域を含めて現況調査を行い、評価・分析を経て、再整備の指針及びパイロットプランの作成に至る調査研究であり、この中で以下のような点が明らかになった。

大半の公園において、現況は云うに及ばず、当初計画の段階から、人と自然(緑)とのふれあい、緑の豊かな環境形成・景観形成という視点での配慮が充分でなかったためか、結果として都心における街区公園等は都市空間における快適性の向上にほとんど寄与していないことが明らかになった。
全体の約80%の公園では画一的な遊具の配置や、老朽化したフェンス等が目立ち、利用上や都市景観上問題となっている。また近年新たに整備された公園でも、画一的な遊具や景観に配慮の乏しい工作物等もみられ、結果として魅力の乏しいケースが目立った。
隣接する街並みと齟齬をきたしている公園、周辺地域の土地利用、街の動向にそぐわない公園、文化財等の資源を活かしきれていない公園、さらに地域の都市構造にほとんど配慮していない公園等、土地時性や立地特性を軽視した公園が多くみられた。
一方近年再整備された公園の中には、緑の活用の他、景観面、利用面等に充分に配慮した公園もみられる。こうした公園では、平日、休日を問わず利用者も多く快適な環境を形成している。また整備後長い年月を経ているものの、緑・自然の豊かさが多様な人の利用を生み出し、地域に定着している公園もみられるが、これらは数ヶ所に留まっている。

以上のようなことから、大半の公園では貴重なオープンスペースを充分に活かし切れていないことから環境の時代と云われる今日、都心における貴重な緑の空間として早急に再整備を目指す必要性があるが、この場合、

  1. 多様で豊かな人と緑・自然の関わりを生み出す施設空間としての整備と運営管理を図ること。
  2. 公園という区域に限定せず、隣接する道路等を含めて快適な都市空間、良好な都市景観の形成という観点からの公園整備

以上の2点が不可欠であることが明らかになった。

関連成果物(公表した論文、活動の写真等)

「都心における街区公園の再整備についての調査研究」報告書(別添資料)