平成19年度助成事業 成果概要の報告
団体名(所在地) | 国際シンポジウム「伝統中国の庭園と生活空間」実行委員会〔京都市〕 |
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代表者 | 実行委員長 田中 淡 |
事業名 | シンポジウム「伝統中国の庭園と生活空間」 |
事業の実施場所 | 京都市勧業館みやこめっせ大会議室、藤井有鄰館、京都大学人文科学研究所科学史研究室(京都府京都市) |
事業の実施期間 | 平成19年4月~平成20年3月 |
事業の概要 | 中国を中心とする東アジアの庭園と生活空間について、現時点における研究の相互検証と総括を目的に、世界トップレベルの研究者による国際シンポジウム「伝統中国の庭園と生活空間」を開催、またその報告書の出版。 |
成果の要約 | 本シンポジウムでは、世界トップレベルにある研究者により、その研究動向が二日間に凝縮されて示された。さらに質疑応答では、互いの研究を検証しあうきっかけとなる議論がおこなわれ、たとえば明末の庭園理論書『園冶』について、異なる見解を持つ発表者が互いに自らの解釈を述べ、議論することにより、『園冶』の何が問題となっているかの一端が会場で明らかにされることとなった。このように、本シンポジウムでは現時点における中国庭園研究を総括し、また問題の所在を明らかにすることで、今後の研究指針をも示すことができたと考えている。 シンポ当日には当初の予想を上回る多くの一般参加者に恵まれ、発表者とコメンテーターの議論だけでなく、大学院生を含めた一般参加者との質疑応答においても非常に活発な議論がおこなわれた。時には質問と発表者との回答が発展し、東洋と西洋では庭園とは何を意味するのか、そもそも庭園とは何かといった本質的な問題にまで議論が及ぶ場面もあった。さらに、本シンポジウムのテーマ「庭園と生活空間」が持つ幅のひろさと奥深さのため、また、発表者、コメンテーターを中国庭園研究者に限定せず、美術、建築や文学、東洋史の研究者に参加を呼びかけたことも影響してか、一般参加者の研究分野も考古、美術、建築、文学、ヨーロッパ文化史など広範囲にわたった。中国庭園が庭園史という限られた研究分野の問題としてだけではなく、多くの研究分野に共通する問題として考察された意義は大きい。 また、本シンポジウムでは、これまで直接会うことの少なかった中国庭園史研究者が勢揃いし、中国庭園史研究者間の交流を促進するだけでなく、他分野の研究者と個別に交流するきっかけともなった。これは庭園学全体にとっても新たな研究の進展を促すことになり、この点においても大きな意味があったと思われる。 関連成果物(公表した論文、活動の写真等) シンポジウム発表論文集(いずれも英日もしくは中日併記) |