団体名(所在地) |
東京農業大学 子どものための園芸療法プロジェクトチーム〔神奈川県/聖路加国際病院、国立成育医療センター〕 |
事業名 |
子どものための園芸療法の活用の可能性についての研究 |
事業の実施場所 |
聖路加国際病院、国立成育医療センター |
事業の実施期間 |
平成20年4月~平成21年1月 |
事業の概要 |
1.園芸療法導入のためのデモンストレーション:小児がんで長期入院を余儀なくされている小学生との花壇作り。
2.積極的な治療としての園芸療法:人工的空間での制限された園芸療法ではなく、屋外空間の中で自然のリズムに添い、患者自身が根付ける場所を確保する園芸療法の実践 |
成果の要約 |
- 小児がんで長期入院を余儀なくされている子どもたちは、治療のために免疫が低い状態のため、外に出て自然に触れる機会が少なくないだけでなく、様々な制限を受けている。辛い入院生活の中に楽しい時間をもたらし、「外に出たい」という気持ちを誘発し、季節ごとに植物の生長を感じられ、野菜の収穫も楽しめるように工夫した結果、子どもたちが主体的に自然と触れ合う機会が増えた。入院生活の中で無理なく関われる植物との時間がもたらされ、“いのち”の動きが目でみて確認できる植物の生長は、子どもたちを育み、治療者、教育者にも感動をもたらした。治療空間のなかで子どもたちが閉ざしがちな五感を開き、生きる希望を与える空間としての「子どもたちの花壇」が定着し、屋上にもその空間が広げられた。今度の継続的な活動による効果が期待されている。
- 一般小児科病棟の病室と心理室(プレイルーム)において、約一年にわたり園芸療法を実施してきたが、屋内空間における園芸療法の限界があり、ある一定のところで治療が進まない状態であった。今回、屋外空間での積極的な治療導入を試み、屋外空間で根付ける場所を確保し、植物の生命力を最大限に引き出す園芸療法を継続して行った結果、治療がダイナミックに動いたことが治療関係者を驚かせた。屋内空間から屋外空間へ繋げるに至った経緯は大変感慨深く、この成果は、日本園芸療法学会第1回大会にて、医師から発表された。自然との関わりを用いて、植物とのゆるやかな関わりのなかで確保されていく信頼関係の構築、言葉による弊害で治療が困難な場合に、より侵襲性の低い園芸療法が効果的であること、屋外空間での自然のダイナミズムを用いる園芸療法の本質が評価され、これからの園芸療法分野の発展に大きく寄与できる成果を挙げられたといえる。
関連成果物(公表した論文、活動の写真等)
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