仙台市の植物相 2年間で収集した17,012点の標本とTUS所蔵標本(一部)に基づいて、169科2,177種類(県産種類数の72%)の自生・帰化・逸出を確認した。帰化・逸出は426種類で帰化率は19.6%となる。フボウトウヒレン(新種)、オトメエンゴサクの白花品(新種)、ミヤギノガヤツリ(仮称、新帰化)、ハナビゼリ・ヤマウツボ・カモガワモ(県新見出)など多くの貴重種が確認できた。なお、標本採集にあたっては小中学生の協力も得られた。
三位一体で植物の学習 これまで栽培し続けてきた生植物、数十年にわたって収集してきた文献に、新たに長年の保存に耐えられる標本が加わったので、野草園では年間を通して植物の生きた学習ができるようになった。収集した標本は児童生徒から市民、研究者まで気軽に閲覧できるように整理している。
おし葉標本の重要性 採集→乾燥→仕上げまで直接携わった調査委員はもとより、その協力者・職場の同僚・友人、展示会見学者らに標本という基礎資料を保存・活用することの大切さを理解していただいた。また、月1回の一斉標本整理日を通して標本室の管理方法についても体験していただくことができた。
植栽樹木の種類の豊かさ 一年次の調査結果を市民に報告する目的で「仙台の公園樹木展」(7/29-8/24)を開催した。展示は、採集箇所の多い樹種ベスト10、イチョウの葉形の変異、三神峯公のサクラ類、小中学生の作品、野草園内の針葉樹(生品)などのコーナーで構成し、種類数の豊かさについて周知を行った。
植物相の現状についての普及 調査報告書「標本に基づいた仙台市野生植物目録」を発行した。県内外の図書館をはじめ博物館、自然関係の施設、社会教育関連の施設、研究機関、自然関係のグループおよび研究者・愛好者などに寄贈し、植物相の現状についての普及・啓蒙を図った。
関連成果物(公表した論文、活動の写真等)
下山祐樹. 2009. 仙台市西部の水草、宮城の植物(34):25. 葛西英明. 2009. 福島・宮城両県の新産植物など. 東北植物研究(15):33-35. 仙台市の植物相調査委員会(編). 2010. 仙台市の植物相調査報告書 標本に基づいた仙台市野生植物目録 309pp. (財)仙台市公園緑地協会. 仙台. |