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花博自然環境助成事業

平成21年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) (財)越前町朝日公共施設管理公社〔福井県〕
事業名 越前町立福井総合植物園植物標本整理事業
事業の実施場所 越前町立福井総合植物園
事業の実施期間 平成21年4月~平成22年3月
事業の概要 越前町立福井総合植物園所蔵植物標本を植物多様性研究の基礎資料として整備することを目的として、標本の整理を行った。さらに、植物分類学の専門家に標本同定の指導を仰ぎ、公開講演会・展示会を開催し、植物標本の利活用について啓蒙普及を図った。
成果の要約

標本整理事業
植物園職員と協力団体のハナノキ会会員が標本の貼付、ラベルの補完作業を行った。標本の同定は、若杉孝生名誉園長が中心となって行った。維管束植物標本約10万点について科毎に再配架作業を行った。同定のために専門的な知識が必要と考えられる分類群について、専門家に依頼して同定法についての指導を仰ぎ、同定確認をしていただいた。シダ植物に関しては松本定先生(国立科学博物館研究主幹)、バラ科キイチゴ属については鳴橋直弘先生(富山大学名誉教授)、キク科アザミ属・キンポウゲ科・リンドウ科については門田裕一先生(国立科学博物館研究主幹)を招聘した。


公開講演会・標本整理事業の成果を用いた展示会の開催
松本定先生には、6月27日に「種はどのようにして生じるか―海岸のシダ、オニヤブソテツを例にして―」と題して公開講演会を行っていただいた。松本先生の研究から、オニヤブソテツ類を例として、染色体の倍数化と無配生殖、雑種形成を通しておこる植物の多様な形態や生態の進化の過程について解説していただいた。鳴橋直弘先生には、9月23日に「世界のキイチゴ、日本のキイチゴ、福井のキイチゴ」と題して公開講演会を行っていただいた。バラ科キイチゴ属の分類から日本のキイチゴの特徴、福井県から知られている興味深いキイチゴ、ヨーロッパの多様な種類と利用法など、広範な話題をご講演いただいた。講演会に伴って、「キイチゴ属植物標本展」を開催した。この標本展では、日本産キイチゴ属の全種に加え、帰化種、園芸種など、当園所属標本78点を展示・解説した。


その他
当園所蔵の標本(2002年作成)を基に、大場秀章先生(東京大学名誉教授)との共同研究として「ソメワケキンキマメザクラ」を新品種として発表した。

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関連成果物(公表した論文、活動の写真等)

大場秀章, 若杉孝生, 松本淳. 2010.2. 「新品種ソメワケキンキマメザクラ」植物学研究雑誌第85巻第1号 64pp.