花博自然環境助成事業
平成22年度助成事業 成果概要の報告
団体名(所在地) |
NPO法人 のとキリシマツツジの郷〔石川県〕 |
代表者 |
理事長 宮本 康一 |
事業名 |
キリシマツツジにみる江戸園芸文化交流に関する研究 |
事業の実施場所 |
石川県能登地方、東京都、千葉県、新潟県立植物園など |
事業の実施期間 |
平成22年4月~平成23年3月 |
事業の概要 |
江戸時代を代表する古典園芸植物であるキリシマツツジの古木の分布、品種構成、DNA分析を全国規模で行うことにより、キリシマツツジの全国伝播図を作成し、ひいては江戸時代の園芸文化の地域間交流を明らかにする。 |
成果の要約 |
- 江戸キリシマ系ツツジの分布
これまで行った現地調査やアンケート調査のデータベース化により、樹齢100年以上の江戸キリシマ系ツツジは全国で451個体、そのうち石川県能登地域に355個体が分布し、分布図からその中心は能登町、珠洲市と能登半島の先端部であることが明らかとなった。また現存する江戸時代(1730年代)の産物帳の調査により、このときまでに東北から九州まで広く栽培されていたことが明らかとなった。 - 品種構成
現地及び標本調査から、江戸キリシマ系品種群の` 本霧島’、` 蓑霧島’、` 二順霧島’、` 八重霧島’、` 四季咲霧島’、` 紅霧島’、` 紫霧島’の7品種から構成される。また、花色が本霧島に比較して不鮮明な「けら性」で、品種名不詳の一重、不完全二重、八重の個体を確認したが、花器の形態調査からそれぞれの花形には複数の系統が含まれることが明らかとなった。 - SSR 分析による品種内変異
` 本霧島’、` 八重霧島’、品種名不詳の「けら性」と同定された個体のSSR分析から、外観では識別が困難な複数の系統で構成されることが明らかとなった。一方、` 紫霧島’、` 紅霧島’、` 四季咲霧島’はそれぞれほぼ一系統(クローン)で構成されることが明らかとなった。 - 「けら性」のSSR分析による園芸文化交流の推察
新潟県、千葉県、東京都、石川県、滋賀県、島根県での江戸キリシマ系「けら性」ツツジを用いたSSR分析から、同一のクローンがそれぞれ石川県(能登)と滋賀県、また新潟県(佐渡)と島根県で発見された。さらに全国各地でサンプリングを行うことで、園芸文化の交流ルートが明らかになることが期待される。 - 成果の公表
これまでの研究成果を次のとおり発表した。 5月10日、10月13日 石川県立能登産業技術専門校 3月5日 神奈川県立フラワーセンター大船植物園 「のとキリシマツツジシンポジウム」
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