団体名(所在地) |
第3回国際メタセコイアシンポジウム実行委員会〔宮城県〕 |
代表者 |
委員長 鈴木 三男 |
事業名 |
第3回国際メタセコイアシンポジウムの開催と普及活動 |
事業の実施場所 |
大阪市立自然史博物館、長居植物園、メタセコイア化石産地及び現生スギ科植物観察地(滋賀県、岐阜県、長野県) |
事業の実施期間 |
平成22年7月~平成22年9月 |
事業の概要 |
第3回国際メタセコイアシンポジウムの開催と、併催される市民を対象とした講演会・観察会を始めとする普及啓蒙活動を通して、研究成果の共有と社会への還元を図り、「自然と人間との共生」の理念に資することを目指す。 |
成果の要約 |
- シンポジウムは参加者54名(国外25 名、国内29名)、口頭発表26件、ポスター発表18件により開催した。国外参加者は、中国、アメリカ、韓国、台湾タイ、イタリア、ハンガリー、ドイツ、スイスの9ヶ国からの参加だった。国外参加者が予想以上に集まったことから、メタセコイアおよび関連の化石研究やスギ科をはじめとする針葉樹の研究に対する世界的な興味の高まりが感じられた。特に化石研究の中心となった日本と現生メタセコイアの生育している中国だけに集中するのでなく、欧米の研究者、さらには中国以外のアジアからも研究者が集まったことは、本シンポジウム開催の大きな成果といえる。
- シンポジウムの議論の中で、第三紀の化石について議論がかみ合わないことがあったが、これは第三紀化石における種の認識方法の相違に起因する問題であることがわかった。とくにヨーロッパでの産出化石は多様な記載がなされており、整理できていないことがうかがわれた。この問題を解決するには、産出化石の葉や茎の形態変異の幅を調べ、異なる地域間での比較検討を進める必要がある点が指摘された。このような意見の統一のために日本での化石研究が果たすべき役割は非常に大きいと、改めて認識しなおすことができた。
- シンポジウム全体から、新しく得られた重要な点をまとめると以下のようになる。
1. この分野の研究者間の新しい国際的関係ができた。 2. メタセコイアと関連分類群の生物地理学における重要な新しい考察がなされた。 3. 現生及び化石メタセコイア個体群の情報が更新された。 4. いくつかの国から得られた化石材料についての情報交換ができた。 5. 化石材料の採取方法や保全について詳細な情報が得られた。 6. 生物地理学と古環境の関係についての情報が得られた。 - 一般市民向けの講演会、観察会、記念展示の普及事業は、多数の参加者を得て順調に実施することができた。観察会や展示会場で説明用に使用した学習リーフレットが好評で、多くの市民に対してメタセコイアについての説明や、三木茂博士の偉業を解説することができた。とくに展示事業については、大阪市立自然史博物館の協力により期間延長して開催することができ、また新聞や各種情報誌など幅広い広報に努めた結果、非常に多くの来館者を集めることができた。今回企画したこれらの普及事業により高い普及効果をあげることができたと考えている。
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