①土着樹種による採種・育苗・植苗法の正当性と有効性を証明 河畔に植苗した苗木はすべて沿川の既存母樹から採種し、沿川外からは採種していない。また育苗法でも年1回行う床替えの際や植苗のため掘り出す際にも垂下根(直根)を保全しており、風が強く石の多い河畔でも風による揺れに強く細根が切れる確率を小さくする効果がある。また、できるだけ多くの母樹から採種した土着樹種のため既存樹木の遺伝子を攪乱することがなく、地域の風土に適合して病虫害に強い遺伝子を持っている。この結果、2010年に植苗した苗木の活着率は95.8%の高率であり、2007~10年の平均実績も96%、2年以上の生育率も同95%を示す。一般的に活着率は75%を超えれば成功と言われている中でも高い実績を示しており、この方法の正しさを立証しつつある。5年間の植苗で延べ、5,080m2に47樹種4,000本を植え、うち3,800本余りが生育しており、当初から自然の森に近い樹種の多様性を維持しながら河畔林は確実に再生しつつあり、生物多様性を広げつつある。
②系統的な環境教育による子どもたちの意識変化 とくに、小学校2校とは6年間の実施協定を結んでおり、先輩から後輩へと引き継がれることで、新しい試みをしようとする意欲が醸成されつつある。その一つが2011年の「実際の森づくり作業を経験する」試みであり、既植苗地の草を嫌で刈り取る作業をすることで、たんに苗木を育てて植えただけでは森をつくることはできないことを経験した。
③関連するサブプロジェクトや①の育苗・種苗法の拡大 林試協働による堅果類モニタリング調査、外来樹・ニセアカシアの駆除、ニセアカシア伐材による炭焼きと炭材の利活用、その他の外部事業への提言力・信頼度の向上など。とくに土着樹種による採種・育苗・植苗法は渡島管内だけでなく全道に広がりつつあり、種苗業者自身がこの方法を学びつつある。
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