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花博自然環境助成事業

平成23年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 外来種生態管理研究会〔北海道〕
代表者 代表 立澤 史郎
事業名 外来種ヌートリアの密度制御と植生回復の実践的研究
事業の実施場所 兵庫県加西市
事業の実施期間 平成23年4月~平成24年3月
事業の概要 前回事業等で検証した「ため池水位調節によるヌートリア制御手法」を複数か所・河川で実践し、面(水系・集落単位)での低密度化・地域的根絶をめざす。そのプロセスを保全生態学と環境社会学の観点から分析し,全国的共有を図る。
成果の要約

本年度は、①ヌートリアの生息状況と被害の概要把握,②地元との協議体制の再構築,③②に基づく調査目的と体制の構築、を目的とした。
①については、聞き取り調査および予備調査により,3年間で以下のような新たな課題が生じていることが明らかとなった。

  1. ヌートリア分布中心の移動と分布再拡大
  2. 他の外来種(アライグマ、ハクビシン)による被害の拡大と複合化
  3. ため池管理体制の弱体化と堤体の弱体化

そこでこの結果を元に,今後必要な対策等,地域としての課題の洗い出しを行う目的で複数の管理組合等と予備協議を行い,前回事業よりも調査の対象・エリアを広げ、かつ堤体強度調査を行う,などの調査基本計画を合意し,調査協力およびため池管理と被害対策実施における協議体制を立ち上げた(②)。
次に,実際の協議を経て,事業に以下の内容を加え,次年度以降,協働でモニタリングと対策を行うことで合意し,基礎調査(一部)を開始した(③)。

  • 希少植物保全という点ではヌートリアが最大の問題種だが、地元としては果樹等を食害するアライグマとハクビシンに対する被害意識が強いため,これら3種の被害状況把握と統合的な対策にも配慮する。
  • ため池管理者の世代交代や宅地再開発により,ため池そのものの消失も進んでおり,これが残ったため池の管理体制強化とともに,希少水生植物相保全の大きな障害となっているため,保全優先順位を共有する。
  • 堤体そのものが弱体化している池が増加しているため、ヌートリア営巣実態との関連において堤体強度調査を行う。
  • 生態系被害(希少植物の衰退)およびため池の歴史に対する意識を高める環境学習的アプローチを含める。