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花博自然環境助成事業

平成25年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 特定非営利活動法人 アクアキャンプ〔茨城県〕
代表者 理事長 永田 翔
事業名 野生絶滅種コシガヤホシクサ野生復帰活動事業
事業の実施場所 茨城県下妻市砂沼
事業の実施期間 平成25年4月~平成26年3月
事業の概要 野生絶滅種である水生植物コシガヤホシクサ(ホシクサ科)を、最後の自生地である茨城県下妻市砂沼に野生復帰し、持続的な自立個体群の構築を図るとともに、周辺の水辺生態系の回復を目指す事業である。
成果の要約

本事業コシガヤホシクサの野生復帰と保全が目的であるが、保全には茨城県下妻市砂沼における生息域内保全、筑波実験植物園内圃場と越谷市農業技術センターでの栽培を行う生息域外保全の2つがある。生息域内保全では、野生復帰地砂沼におけるコシガヤホシクサの最終生存個体数は613個体となった。前年度の4357個体より86%減という大きな減少となったが、一年草であり自然環境の変化があることから、単純に悲観的になるべきではないと考えられる。増減を繰り返しながら野生復帰地での自立した個体群の構築まで研究と観察を継続して行うべきである。

本事業では筑波大学の学生らと国立科学博物館の研究のサポートも行ってきた。この研究によってコシガヤホシクサの好適生育条件が解明されてきており、これを根拠に野生復帰までの保全活動を効率的に行うことができるようになった。この研究結果は2014年の市川氏の筑波大学修士論文「野生絶滅種コシガヤホシクサの野生復帰予定地での定着に水位と立地条件が与える影響」まとめられた。
茨城県下妻市砂沼の野生復帰地は通称柳ワンドとよばれる。このワンド全体が野生復帰予定地であることから、この区域の土壌を歩くのは個体の定着の阻害要因になる可能性があることから2012年より木道の設置を行ってきた。2013年も約18mの木道の設置を行った。これによってコシガヤホシクサが生育している試験区へのアプローチが個体に悪影響を与えることなく可能になった。

生息域内保全では一年草であることから毎年早春に播種を行い、秋に種子を収穫するというサイクルを行う。この収穫した種子は毎年砂沼の試験区に播種する。2013年度に収穫できた種子は筑波実験植物園で350万粒、越谷市農業技術センターでは65万粒となった。この種子を筑波実験植物園圃場と砂沼の野生復帰予定地試験区、越谷市の葛西用水野生復帰予定地試験区に播種をおこなった。
コシガヤホシクサの保全活動は水草の保全活動と密に連携する必要がある。「第35回水草研究会全国集会 茨城」での学会ポスター発表や、コシガヤホシクサ自生地を多くの水草研究に携わる方々に観察してもらい、水草における野生復帰の経過を伝えることができた。

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