平成25年度助成事業 成果概要の報告
団体名(所在地) | 東京大学大学院理学系研究科付属日光植物園生態学チーム〔栃木県〕 |
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代表者 | 宮下 彩奈 |
事業名 | ブナ林の維持・再生に係るブナ個体の生育条件の研究 |
事業の実施場所 | 日光植物園、福島県南会津郡只見町・要害山、その他 |
事業の実施期間 | 平成25年4月~平成26年3月 |
事業の概要 | ブナ天然材の維持・再生のためのブナ更新適地の解明:特にブナ個体の成長に影響を及ぼすと考えられる環境要因(光環境・地形と雪圧)と、ブナ稚樹個体の成長との関連を、生理生態的手法を用いて定量的に解明する。 |
成果の要約 | ブナを中心とする高木種の生育可能地について、積雪環境の面からの理解が進んだ。積雪深や斜面傾斜角度の調査と、冬季の幹の形態に着目した毎木調査の結果から、個体が幼いうちは環境を問わず積雪期には地面まで匍匐することが可能であり、実際に雪の作用が大きい場所では高木種も匍匐形態をとっているが、幹の直径が10cm程度になると匍匐することが困難になり、この頃までに直立形態を維持することが望ましいことが明らかになった。また、雪中の幹が変形する様子をモニタリングした結果、積雪量に加えて斜面傾斜の大きさが幹の変形に重要であること、幹がより細いころの変形ならびに立木形態の維持がその場所での生育可能性に重要であり、30㎝程度まで幹が太くなればほとんど雪の影響がないことが明らかになった。 24年度から継続中の光環境とブナ成長可能性に関する調査では、ブナ実生の生存率は光環境が良いほど大きいと言えたが、ほとんどのサイトで2年間の生存率が8割前後と比較的大きな値であるのが特徴的であった。しかし、実生個体の炭素収支が負であると推定される場所では約5割と急激に低下した。また、雪崩斜面において、光は十分であると考えられるにも関わらず生存率が小さいサイトがあり、光環境以外の要因が影響していると示唆された。
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