平成25年度助成事業 成果概要の報告
団体名(所在地) | 信大自然史研究会〔長野県〕 |
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代表者 | 代表 大窪 久美子 |
事業名 | 本州中部の希少地形に成立する群落の保全生態学的研究 |
事業の実施場所 | 霧ヶ峰、美ヶ原等、主に長野県の山岳地域 |
事業の実施期間 | 平成25年4月~平成26年3月 |
事業の概要 | 消滅や破壊が懸念されている霧ヶ峰等の本州中部における希少な構造土地形及び、その地形上に成立する特殊な群落を保全するため、これらの分布や特性、群落構造、立地条件、人為の影響を解明し、保全策の提言を行う。 |
成果の要約 | 霧ケ峰の車山及び物見山を中心とする地域は中緯度低標高地に位置するが,大スケールとしての周氷期地形に基づいた植生が成立しており、これは風衝地と風背地植生に大きく二分され、前者はニッコウザサやヒゲノガリヤスが主体となる乾生群落が、後者ではススキの優占する湿潤な群落であった。次に周氷期地形の一つである構造土(特に階状土ともいう)地形上に成立する群落型は遷移進行程度の異なる4つに分類された。構造(階状)土の上面には、植被率は低く、先駆植物種から構成される群落型(Ⅰ)が認められ、これは地形の崩壊が進んでいない急傾斜地の稜線上にあり、土壌の凍結融解作用が停止していないと考えられた。反対に低木のレンゲツツジ等が高い頻度で出現し、遷移進行が進んでいる状態の群落型(Ⅳ)が認められ、これらは台状地形(テーブルマウンテン)の外縁で地形崩壊の進行がみられる立地に成立していた。一昨年に一部に予備的に設置した地温データロガーの結果では、構造土の成立する条件となる地温条件は確認されたが、上記の群落型(Ⅳ)や風背地では元々の大スケールでの地形や遷移進行のため、凍結融解作用が生じにくくなっていると考えられた。今年度に設置した地温データの収集は積雪のため、未回収であり、データ解析が進んでいないため、本結果は次年度にまとめて報告する予定である。今年度の成果としては、大小の周氷期地形(構造土)地形における主要な群落型と地形の特性を把握することができ、特に急傾斜地の稜線上(風衝地)に残る典型的な階状土地形を集中的に保全する必要があることが指摘された。 事業の実施成果については、以下の学会発表(一般講演(ポスター発表))2件を行った。 予定通り、以下4つの市民調査を実施した。
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