スキップして本文へ

花博自然環境助成事業

調査研究開発助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 九州大学園芸学研究室ツバキ研究会〔福岡県〕
代表者 水ノ江 雄輝
事業名 複色花西洋椿品種成立に関与した久留米椿の調査研究
事業の実施場所 九州大学箱崎キャンパス,九州大学園芸学研究室,久留米つばき園,大分農業文化公園
事業の実施期間 平成26年4月1日~平成27年3月31日
事業の概要 江戸時代には多くのツバキ品種が作出されるとともに,欧州へ紹介され,「西洋椿」が成立した.本事業では,複色花西洋ツバキ品種への久留米ツバキの関与について明らかにするとともに,それら複色花発現機構を解明する.
成果の要約

シーボルトが江戸時代に欧州へ持ち帰った日本の在来品種と,その後に成立した西洋椿品種との関係はこれまで不明であった.しかし,本事業によって,それら品種間の遺伝的類縁関係を科学的に明らかにすることができた.これにより,日本国内外における品種の伝搬や江戸期における日本の園芸文化の広がりについて再考することが可能となった.また,本事業で用いた手法(AFLP法)によって,園芸品種間の遺伝的類縁関係について詳細に解明できることが示された.

花弁における斑入りや絞りなどの多彩な花色変異は幅広い花卉において見られ,ツバキ園芸品種においても観賞価値を高める重要な形質のひとつになっているが,その発現機構については明らかでなかった.本事業で実施した花色発現機構の解明では,特徴的なふたつの複色花の発現機構を明らかにすることができた.花の模様に関する研究は現時点ではとても少なく,ツバキでは当研究グループが以前に明らかにした“覆輪”に次ぐものである.本事業により得られた結果はツバキにおける他の花模様や,さらには他の花卉における花色発現機構の研究に活用されることが期待される.

本事業成果は,九州大学オープンキャンパスにおける高校生への紹介,園芸学会全国大会でのポスター発表,本部・支部会員数約1,500名を擁するツバキ協会誌への掲載が行われた.これにより,本事業成果および花博記念財団の事業を紹介することができたと考えられる.

26_11-1.jpg
‘正義’(左)と‘吹上絞’(右)の花

26_11-2.jpg
植物体からのDNA抽出

26_11-3.jpg
大学オープンキャンパスにおける高校生への公開講座