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花博自然環境助成事業

調査研究開発助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) モンゴル森林再生促進研究会〔滋賀県〕
代表者 代表 草加 伸吾
事業名 「倒木遮蔽更新」仮説を応用した再生促進技術の開発
事業の実施場所 モンゴル国の森林火災跡地および滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)(フブスグル湖集水域のハトガル、ハロス、ヘクツアル)
事業の実施期間 平成27年4月~平成28年3月 (全体計画:平成27年~平成30年3月)
事業の概要 降水量が少ないため、山火事後の再生が困難なモンゴル北部で、森林観察で着想を得た「倒木遮蔽更新」仮説を応用した森林再生促進技術の開発を行い、その成果を現地の人々に共有してもらうために研究調査、発表、論文化を行う。
成果の要約
  1. 倒木が集める雨水の量の現地気象台内での観測により、まだデータ数は14とやや少ないが、トユだけで集水した雨量と丸太が集水した雨量との関係はほぼ直線関係が得られ、1mm以下では倒木が集めた雨量は0だがそれ以上は傾き4.5の直線関係が得られ、少ない雨でも丸太の下幅5センチは雨量の4倍以上の雨水を受ける結果(直径36cmの丸太の場合)となり倒木が雨を集める効果がはっきりした。
    この場合、受水面積が、直径36cmの丸太の場合、(18cm+5cm)/5cm=4.6倍なのでほぼ受水面積に比例して、受水量が増加していることが明らかになった。
  2. 倒木と板の実生の発芽・生存に与える影響実験では、種子の発芽に関しては、対照区の草地(C)9本(これまでと同様にほとんど発芽生存しなかった)と比べ、丸太は77本、板は80本と同程度によく生えた。これは発芽に必要な陰の提供に関しては丸太も板も同じ働きをしていることを示している。今後、雨を集める丸太と集めない板の差が発芽実生の生存にどう効いてくるかを継続して調べる予定である。
  3. 自然に起こった倒木遮蔽更新の実例で、倒木の直径(高さ)と、北側陰側に再生している再生木の倒木からの距離を調べてグラフにしたところ、20本以上の調査倒木と、170本以上の再生木のデータから、倒木の太さが20cmから35cmの部分で、木からの距離が10cmから20cmの領域に最も再生木が集中して生えていたという結果が得られた。また、太さが40cm以上だと再生木は倒木近くの0-10cmにはほとんど分布していないことも明らかになった。これらの知見を「再生促進マニュアル」にフィードバックして改訂した。

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