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花博自然環境助成事業

平成29年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) NPO法人おおいた環境保全フォーラム〔大分県〕
事業名 稀少種カワツルモを指標とし潟湖・龍神池の再生事業
事業の実施場所 大分県佐伯市米水津大字浦代浦
事業の実施期間 今回計画:平成29年4月~平成30年3月
(全体計画:平成29年4月~平成32年3月)
事業の概要 絶滅危惧種カワツルモやオオウナギが生息する特異な自然環境を形成する龍神池は、急激に環境悪化が進行し脆弱な汽水生態系の保全対策が危急の課題である。課題解決のため以下の事業を実施する。①継続的な水環境調査及び生物、植生調査。②調査結果の分析評価と保全施策の検討、策定。
成果の要約

本年度の事業では、来年度の龍神池再生事業に向けた環境調査を実施した。その結果、池の表層部の水質は、おおむね一般的な潟湖の様相を呈していることがわかったが、最深部(測深約3m)の湖底付近では、溶存酸素量が魚介類の生息が不可能な1(mg/l)以下を示しており、池の水循環の滞りが明らかとなった。その要因のひとつとして、海水の出入りがある池口付近に砂が堆積して水深が浅くなることで流速が落ちることが考えられる。龍神池は、潮の干満による海水の出入りでは水の循環が起こりにくくなっており、池内部の水の交換がなされていないだけでなく、鉛直的な水循環も滞り湖底の酸欠を招いている状況が解明されてきた。

この調査結果を踏まえ、来年度以降の再生事業では、池口付近に堆積する砂の除去を進めると同時に、砂の堆積を招く要因となっているコンクリート製の堰の撤去を進めるべく地元関係者との調整を進めていく予定である。この堰は、シジミの生息数減少を受けて、塩分濃度の高い池内への海水の流入量を調節する目的で2010年に建設された。現状では堰として目的の機能を果たしていないが、堰の撤去による急激な環境変化による悪影響も危惧されるため、段階的な堆積砂の除去とモニタリングを並行して進める。

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カワツルモの新芽(6月14日撮影)

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新芽が消えたカワツルモの古株(6月29日撮影)