今年度もコロナの影響で、小笠原に行くことができた期間は年度末の2航海となり、この時期は海況も悪く、予定していた母島属島への渡航とトンボ池用容器の設置は漁船をチャーターする必要があるため、あきらめざるを得なかった。
実際に行った活動は以下のとおり
弟島-劣化したトンボ用容器の交換を行い、古い容器は島外に搬出し、小笠原では廃棄プラスチック容器を処理できないことから、神奈川県まで送って産廃処理をした。
兄島-中部、南部の既に設置されているトンボ用容器の状況確認をし、容器の上空が樹木によって覆われているものは、容器の移動等を行い、飛翔するトンボに認識されやすいようにした。また、今年度兄島南部ではグリーンアノールが爆発状態になってしまったが、その固有トンボ類への影響を調査した。 ―同じく兄島では、北西部の外来樹モクマオウ伐採地をオガサワラハンミョウ保全地への再生試験として、枯殺・枯死木やリターの除去でかつての露岩地を再生できないかの試行試験をおこなった。
西島-設置されているトンボ用容器の状況確認を行った。
父島-今後兄島でさらにグリーンアノールの拡散・増加状況が悪化することも想定して、特に飛翔能力が無い、あるいは弱い種(例えばヒメカタゾウムシなど)の保全のために、樹木に小規模な網掛けを行った場合、どれだけの面積の網が必要なのか、父島にある乾性低木林(兄島の乾性低木林を想定)で、試行試験を行った。
トンボ用容器の交換 近年の干ばつと大雨を繰り返す過激な気候の中で、土砂の流入やひび割れのため機能していなかったものを交換することができた。止水性のトンボの保全に機能することが期待できる。また、特に干ばつ時の、例えば固有種オガサワラカラスバトなどの貴重な水場となることが予想される。 トンボ容器の状況確認 現在、樹木による被陰などで、上空から認識されにくくなったトンボ池の移動の必要性、また設置状況(水が多くなった時のための穴の位置、水質)など改善したほうが良い箇所も把握できたので、レンジャーや環境省など関係機関に状況を伝えられる。また、一度の調査では、断言はできないが、兄島南部においてはアノールの爆発的な状況が固有トンボ類にも影響を及ぼし始めていることが初めて確認された。 オガサワラハンミョウ保全地の創出について 外来樹モクマオウ、リュウキュウマツが枯殺された場所を裸地環境に再生するための手法と、おおよその人工、また実施するべき時期(枯殺からどれくらいの時間内にやるべきか)などが把握できた。 小規模な網掛けの試行試験 乾性低木林での、樹木への網掛け試験をおこなった。このことにより、どれだけの機材が必要か、適切なポールの高さはどれくらいかを把握することができた。
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