かたつむりミュージアム ラセン館は2019年にオープンして3年目を迎え、少しずつ認知度も上がり遠方からの来館者も増えている。 立地が悪いにもかかわらず、駅から徒歩の来訪者も時々ある。花博助成金で展示備品も徐々に充実してきている。展示室なに生体展示の水槽を設置。これまで整理が整ってなかったバックヤードの会標本用に整理棚を設けた。
12月から2月にかけて沖縄県立博物館・美術館でラセン館の展示物のほとんどを移動させての巡回展を実施した。会場はかなり広いので、交流のある橿原市昆虫館で以前行ったかたつむり巡回展の時の展示パネルも借り受けて壁面展示を充実させた。 会期中、野外観察会を1日設け、募集人員いっぱいの参加者と共に半日のフィールド散策を行った。冬の時期とはいえ、さすがに沖縄は生物も活動しており、ウスカワマイマイを襲うマドボタルの捕食シーンや、シュリマイマイの交接シーンなど、m図らしい生態も観察することができた。
沖縄での搬入作業から観察会までに8日間ほどあったので、ラセン館展示のメインであるリアルフィギュア制作の為に必要な陸貝採集を行った。採集圧を最小限に抑えて、保護種については許可を得て行った。 巡回展は、今後を含め、ラセン館の所在地である関西や、施設の多い大都市圏よりは、催事に接する機会の少ない地方都市に重きを置いて開催していきたいと思う。
昨年、コロナ蔓延で中止になった花博協会による小学校への出張授業を、2021年度は1度だけ開催することが出来た。リアルフィギュアの収まった標本箱10数箱を持参し、手に持てる大型のカタツムリリアルフィギュアを直接手で触ってもらったりした。
2022年の年明けには、ラセン館ニュースのリーフレットを作成し、来館者の名簿あてに郵送を行った。年3回を目標に発刊を予定している。まずはリーフレットから初めて、徐々に内容の濃いものに作り上げていく予定である。
ラセン館においては、2021年度には京都府のウェブ情報サイト、地域情報誌、新聞取材などにも取り上げられ、コロナ禍ではあるが、成果が見られると思う。
沖縄での巡回展は、いったん収まりかけたコロナ禍(デルタ株)が会期中に再拡大をはじめたが(オミクロン株)、新聞、テレになどの複数取材に加え口コミによる広がりもあり、最終的に観覧車数は4,214人にのぼった。 やはりより多くの人たちに生物多様性の意識や魅力を伝えるには、普及実績を積み上げてきた公設博物館との連携は欠かせないと実感した。
巡回展会期中に行った野外観察会では、参加者からの質問も多く、終了後ほぼ全員からアンケートに建設的な感想を寄せて頂き、有意義な催事となった。
出張授業では、自然からますます遠のく今の子供たちが、生物が気持ち悪いという既成概念からすこしでも解放され、生物多様性へ親近感を感じる手助けになったのではないかと思う。
ラセン館においては助成金による展示物の充実によって、リピートの来館者も出てきている。平均滞在時間は1時間半、長い方は3時間ほど滞在される方もある。けっして来館者数は多くはないが、そのぶんゆっくりと鑑賞してもらえ、知見を深めて頂けていると思う。
巡回展においては、補助金による印刷物の効果もあり、ビジュアル的に情報をキャッチした方達が、さらに口コミによって展示への興味を広げていったと思われる。また、巡回展の目的の一つである大都市圏以外の比較的多彩な情報に接する機会の少ない地方での開催において、運搬費などが大きなリスクになるが、補助金活用のおかげで遠隔地での開催が出来ている。 今回も沖縄において「最初で最後の」というフレーズをウェブサイトで用いたからだろうか、予想をはるかに上回る観覧者に展示を見ていただく事が出来た。
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