令和4年度助成事業 成果概要の報告
団体名(所在地) | 特定非営利活動法人自然環境ネットワーク・射水市ビオトープ協会〔富山県〕 |
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事業名 | 生物多様性保存型里山ビオトープの形成に関する事業 |
事業の実施場所 | 富山県射水市入会地(射水市南部丘陵地域) |
事業の実施期間 | 今回計画 :令和4年4月~令和5年2月 (助成対象期間) (全体計画:令和4年4月~令和7年3月) |
事業の概要 | 原生的な自然は少ないが、里山的自然が多く残る射水市において生物多様性・生態系の理念を啓発し、地域在来の動植物・絶滅危惧種の動植物の保存を図るとともに、過疎化の進行による里山衰退を防ぎ地域の活性化を図る。本来、射水丘陵に生息していたホクリクサンショウウオ(環境省レッドデータリストⅠ類B)等の保存を図る。 |
成果の要約 | (1)実施経過 地球規模で進行する生物多様性•生態系の破壊に対応するために、2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約締約回締約国会議(COP10)において日本から提案されたSATOYAMAイニシアティブが採択された。この問題提起を受け【思索は地球規模で・行動派地域規模で!】を掲げて射水市入会地内の耕作放棄された農地や山林を活用し、減少しつつある希少動植物や地域在来動植物の保全を図り生物多様性豊かな里山ピオトープを形成する事業を開始した。 ※特に富山県カテゴリー絶滅危惧I類に指定されているホクリクサンショウウオや絶滅危惧種のアカハライモリ・トノサマガエル等の自然産卵の環境づくりに取り組んだ。 (2)実施内容 A.侵入竹やセイタカアワダチソウ等の外来植物などに覆われ荒廃した山林において侵入竹を伐採し、主として地域在来種の昆虫類等の餌になる広葉樹の食草・食樹を植林し、植物相豊かな森林を造成した。 B.カエルやサンショウウオ・イモリ等の両生類やトンボ・ホタル等の水中に産卵する昆虫類等の産卵地を確保するために山間地の休耕田に年中水を湛える池や水路を造成し、地域在来生物を図った。 C.里山の魅カ・生物多様性の理念を発信するために自然観察会や自然環境セミナーなどを行い、子どもからシニア世代までの幅広い環境教育を行った。 D.第2回【ビオトープフォーラムin射水】を開催した。 20223年2月25射水市で開催。 県内外から317人参加・スタッフ合わせて340人が参加。 テーマ【100年先へこの里山を守りたい射水南部丘陵の生物多様性を考える】 基調講演『人と自然の空間的共存~景観十年、風景百年、国土戦年~』 講師 涌井史郎氏(東京都市大学特別教授・国連生物多様性の10年委員会委員長代理・農林水産省生物多様性戦略有識者会議座長) 特別講演 『未来につなぎたい里山・森林~人と生物の相互関係と可能性~』 講師 横田美香氏(2019年農林水産省経営局女性・就農課長、2021年より富山県副知事)
A.植物相豊かな森の造成(侵入竹を除去し広葉樹の森に移行) 侵入竹約250本伐採・チップ化 地域在来種の広葉樹の植樹約200本。 ※侵入竹を伐採し建設機械を使用し根等を除去し堆肥を使用し客土を実施した。 B.地域在来動物や希少生物(両生類や昆虫類等)の産卵場所の造成。 山中の休耕田を活用し年中水を湛えるビオトープ池1ヶ所・水路等を造成した。 C.山林作業の安全講習・自然観察会・自然環境セミナー等を開催し 子どもからシニア世代までに幅広く里山の役割や生物多様性の理念の普及を図ることができた。 ※造成したピオトープ池や周辺のピオトープ等に多数の両生類等が自然産卵した。 ※当協会は動物の放流や移入は行わず周辺からの自然呼び込みを基本としています。 特に両生類に関して下記の成果をあげた。 記 富山県で確認されている両生類 19種(在来種16・外来種3) ◎射水南部丘陵で確認 ☆造成したビオトープで産卵確認 有尾6種 ◎☆アカハライモリ(準絶滅危惧種) ◎☆クロサンショウウオ(準絶滅危惧種) ◎☆ホクリクサンショウウオ(絶滅危惧Ⅰa類) ハクバサンショウウオ *渓流(流水)系で里山には生息しない ハコネサンショウウオ *渓流(流水)系で里山には生息しない ◎ヒダサンショウウオ 無尾目13種◎☆アズマヒキガエル ナガレヒキガエル ◎☆ニホンアマガエル ◎☆モリアオガエル ◎ シュレーゲルアオガエル カジカガエル *渓流(流水)系で里山には生息しない ニホンアカガエル ◎☆ヤマアカガエル タゴガエル ナガレタゴガエル ◎☆ツチガエル ◎☆トノサマガエル(準絶滅危惧種) 外来種 ウシガエル |