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花博自然環境助成事業

令和5年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 特定非営利活動法人オオタカ保護基金〔栃木県〕
事業名 栃木県那須野ケ原のオオタカは減っているのか?
事業の実施場所 栃木県那須野ヶ原(那須塩原市)
事業の実施期間 今回計画 :令和5年4月~令和6年2月 (助成対象期間) (全体計画:令和3年4月~令和6年3月)
事業の概要 「種の保存法」の希少種から解除されたオオタカであるが、一方で個体数が減少しているという意見もある。栃木県那須野ヶ原において、2023年の繁殖状況を調査し、当地における過去20年間のモニタリング結果と比較して、オオタカの生息状況の変化を明らかにするとともにその要因を考察し、今後の保護の資料とする。
成果の要約

2023年については、4月~7月に定点調査(複数の地点から、無線機を利用して交信しながら、同時に個体の飛行やとまりを確認し、営巣場所を絞り込む)と踏査調査(定点調査や過去の営巣履歴に基づいて、森林内を踏査して使用中の巣を発見するとともに、繁殖進行状況や巣立ちヒナ数を記録する)を併用して、オオタカの繁殖状況を把握した。加えて、2024年についても、同年の繁殖兆候を把握するために2024年2月にも補足調査を行った。
その結果、2023年については、過去にオオタカが営巣した履歴のある営巣地27か所で調査を行い、11か所でオオタカの造巣を確認し、9巣で抱卵を確認した。また、その後繁殖状況をモニタリングし、9巣すべてでふ化を確認できたが、育雛中で3巣が失敗し、巣立った巣は6巣に留まった。巣立ち雛数は合計で14羽であった。繁殖成功率(巣立ち巣数/抱卵巣数)は67%、1巣あたりの巣立ち雛数は2.3羽であった。
2024年については、2023年に繁殖が確認できなかった営巣地6か所について、2024年の繁殖について兆候の有無を確認するために調査を行った。その結果、2か所についてはそれぞれオオタカの成鳥個体1羽を確認したが、造巣中の巣は確認できなかった。残りの4か所については個体の確認もできなかった。これら6か所については、2024年も繁殖を行わない可能性が高い。
上記2023年の調査結果に、2001年から2022年までのデータを加え、合計23年間の繁殖つがい数、繁殖成功率、1巣当たりの巣立ち雛をまとめ、那須野ケ原におけるオオタカの繁殖状況の変化を明らかにした。
今回の事業によって、2001年~2023年までの23年間の那須ケ原のオオタカの生息状況について、以下のことが明らかになった。
繁殖つがい数:この地域では、2001年から2004年までは15つがいが繁殖していた。このつがい数はこの23年間で最大であり、この後徐々に繁殖つがい数は減少し、2012年には8つがいまで減少する。この後、2020年までは繁殖つがい数は8から10つがいの間を変動しながらも安定していたが、その後下降に転じ2023年には6つがいと過去最低になった。
繁殖成功率:72%から87%と変動しながらも安定していたが、2012年には55%、2013年には50%と急激に低下した。その後2014年からは徐々に回復していくが2018年には再度60%まで落ち込む。しかし翌2019年には過去最高の94%まで上昇し、その後は低下するも現在では70%前後で推移した。
1巣当たりの巣立ち雛数:2.5羽から1.7羽まで変動はあるが、23年間を通じて2羽前後で安定している。近年(2020年以降)においても特に減少する傾向は見られなかった。
これらのことから、那須野ケ原のオオタカは、2001年~2023年までの23年間で生息つがい数は減少率60%と大幅に減少しており、1巣当たりの巣立ち雛数は2羽前後で安定しているものの、繁殖成功率も10%程度低下しており、全体として繁殖状況は大きく悪化していることが明らかになった。

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