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花博自然環境助成事業

令和5年度助成事業 成果概要の報告

団体名(所在地) 神奈川トンボ調査・保全ネットワーク〔神奈川県〕
事業名 絶滅危惧トンボ類の生息状況および生息環境調査
事業の実施場所 北海道~南西諸島
事業の実施期間 今回計画 :令和5年4月1日~令和6年2月10日(助成対象期間)
事業の概要 絶滅危惧種の保全策を講じるうえで、生息状況や生息地の現状などの基礎情報は極めて重要である。しかし近年、地域研究者の高齢化により情報の収集が困難になっている。本研究では、絶滅危惧トンボ類の現存情報および減少要因などの現況を調査し、結果を環境省レッドリスト改訂および保全策構築のために提供する。
成果の要約

国内で発生しているトンボ類の半数近くの種が環境省レッドリストに掲載される危機的状況の中、科学的な評価のためには正確な情報収集が肝要である。これまでデータ収集体制を支えてきた各地域のトンボ研究者も高齢化の波の中で、継続してきた絶滅危惧種の現地調査が困難な時期にきており、データ収集が不足していたり、欠落するエリアが拡大しているのが実情である。
このような背景の中、今回の事業では、とくに近年の情報が不足する種や地域に焦点を当てて、北海道から沖縄までの各地で現地調査を展開し、現存情報を収集することができた。
また、調査時には、調査対象種の情報だけではなく、生息環境の変化(植生の遷移や外来種の有無など)もできるだけ記録した。現在トンボの生息状況を悪化させる要因として、農薬、外来種、気候の変化(温暖化)等が挙げられるが、各箇所で何が起こっているかの情報から、生息地の劣化要因の解明につながることが期待され、減少要因が推定できれば保全策の策定の基礎情報になり、今後の再生への道が見えてこよう。また、このような調査を実践することで、活動する会員個々の環境を見る目、調査スキルの向上にもつなげることができた。
ここで得られた情報・成果は、現在改訂作業中の環境省レッドリストに反映するため、評価作業を行っている日本トンボ学会に情報共有を行った。当会でも、得られた知見を今後の保全活動に活かしていく。
各地で実施している保全作業では地域のNPOなどとの協働によって、生息地の環境再生を実施することができ、湿地再生や植生管理などの保全技術の共有をすすめることができた。

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